ミラノ通信

機内誌

2011/08/31

2011年の7月末から8月中旬まで日本に帰り、夏の蒸し暑さを堪能しました。

今回はオーストリア航空という飛行機会社を利用しました。ウィーン経由。

私が飛行機に乗って日本に帰る時には、いつも欠かさず座席の前に差し込んである機内誌をもらって帰ります。なぜならば京都の知り合いの、個人で木箱店を営むNさん(年の頃は60前後)が以前私に真顔でこう言ったからです。

「頼みがあるんや。飛行機に乗って日本に帰る時には、ワシのために機内誌を一冊もって帰って来てくれへんか」

以来、私は帰国する都度Nさんに機内誌を届けています。しかし、これをを見て一体何をするのでしょう。異国情緒を感じたいのでしょうか。

今回もNさんに出会って機内誌を手渡しました。Nさんはお礼を述べてから、さも嬉しそうにパラパラとページをめくり、顔を上げてこう仰いました。

「ワシは機内誌を読むのが大好きなんやけどな、この中にある広告を見ると、世界の経済っちゅーもんがわかるんや。ヤマネ君、昔はな、機内誌て言うたら日本の会社の広告ばっかりやった。それが今はどうや。日本の会社の名前なんてどこ見てもあらへんがな。世界は変わりよったなあ」

機内誌から世界の経済勢力を眺めておられたとは、なかなかNさん、視点が面白いです。そう言われると確かにどの航空会社の機内誌にも日本企業の広告はあまり含まれていないようです。それは日本の経済力が落ちてきている証拠なのか。日本経済が成熟した証なのか。それとも、機内誌の広告なんてそもそも世界経済の指標としては適当ではないのか。

「こうなったら、Nさんの木箱店の広告をドーンと出すしかありませんね」

「なかなか、おもろいこと言うやないか」

...京の夏の夜は更けていきました。

2011/08/31 ヤマネ@Milano