ミラノ通信

ショッピングの愉しみ

2011/11/30

買い物。生きている限り避けて通ることができない行為ですが、何を隠そう私は買い物が苦手です。ところがイタリアで買い物が面白いと思うようになってきました。

スーパーマーケットでの買物はきっと世界中だいたいどこでも同じなので、今回は小売店で買い物をする場合について。イタリアでは、八百屋さん肉屋さん衣服屋さんなどなど、専門の小売店がまだ元気に営業しています。

イタリアの買い物において私が気に入っているのが、まず、ショーウィンドウへの気合いです。イタリア語ではvetrina(ヴェトリーナ)と言います。ショーウィンドウの飾り付けはお店の人がやるのでしょうが、イタリア人の品のよいセンスが発揮されており、なんとなく華やかで楽しい感じに仕上がっていることが多く、見ていて気持ちの良いものが少なくありません。しかもなんと、イタリアのショーウィンドウに飾られる商品には、値段が必ずといっていいほど表示されているのです。

ショーウィンドウに、素敵なスーツを着用しているマネキンが飾られているとします。すると、ジャケットいくらいくら、ネクタイはいくらいくら、シャツはこれこれの値段、靴は何ユーロ、と、見えるアイテム一つ一つの値段がハッキリ示された表が下に置かれています。これは実に素晴らしいことで、おかげで 「ほほー、これが200ユーロか。思ったより安いなー」とか、「なぬっ、これは900ユーロもするのか!」などと一人であーだこーだ考えながらウインドウショッピングを満喫することができてしまうのです。実際、vetrinaの前で立ち止まって賞品を吟味している人を見かけるのは日常茶飯事です。

一方で、お店に入るということは、「買う気が幾らかでもある」ということを意味します。お店に入ったのに、ただ見てるだけー、という買い物スタイルはあまり主流ではありません。まずはショーウィンドウを見て、値段も確認し、「このお店なら、自分のイメージするこのような商品を売っているかもしれない」という考えを抱きながら入店するのです。

扉を開けると、よほど混んでいない限り、店主や店員さんがやってきて、「なにをお探しで?」と言われます。ここで、「自分で探すのでいいです」と返事するのはあまり好ましくありません。お店の中を仕切っているのは店主と店員さんなのです! で、「コレコレが欲しいのですが」と言ってみますと、ぴったりのものがあればそれを持ってきてくれ、なければ色々と代わりのものを提案してくれるわけです。

実例。2日前、近所のワイン屋さんでのことです。

私 「こんにちは」
店主 「はい、いらっしゃい。何を探してますか?」
私 「えーと、今夜の白ワインなんですが」
店主 「なるほど。これとかどう?」
私 「なるほど。あんまり甘くないのがいいんですが」
店主 「これとか、これとか。これもいいよ」
私 「じゃあ、この一番左のやつ。これはどうです?」
店主 「これはおいしいよ! 見た目もいいし」
私 「ではこれにします」
店主 「じゃ、これね。赤ワインは良かった?」
私 「そうですね。じゃあ赤いのも...」
店主 「今ならノベッロ(ヌーボー)もあるよ」
・・・

と、こんな感じです。インターネットで簡単にいろんな情報が得られる時代ですが、「これはすごく良いよ」という店主の一言に押されて購入するのって、なんだか楽しくありませんか。買い物というのは単なるモノと貨幣の交換ではなく、総合的なエクスペリエンスなんだなあと思う昨今です。散財に気を付けます。

2011/11/30 ヤマネ@Milano