ミラノ通信

距離感

2017/12/31

国際的な感覚は誰だって身につけたいと思うでしょうが、実はこの夏、度肝を抜かれる出来事が起きたので書いてみます。

8月のこと。ミラノから車で3時間弱、イタリアとの国境にあるフランスのマントンという町に海水浴に行きました。マントンのビーチは日中はバカンス中のイタリア人やフランス人で大賑わいです。

ミラノに戻る最終日。早起きして朝の8時にビーチに行ってみると、ほとんど誰もいません。この開放感。私はボンボンベッド(ビーチ用簡易ベッドのこと)をセッティングし、おもむろに雑誌を読み始めました。目の前には海。私の右には150メートル先に一組のカップル。左には100メートル先に一人がゴロゴロ。そういう状況です。

そんな時、ザクッ、ザクッと背後から足音が聞こえました。50台後半と思われる一人の女性が、彼女もボンボンベッドとパラソルを右手で持ちながらやって来たのです。そして私の目の前、海との間にそのベッドとパラソルを設置すると、何事も無かったかのようにポチョンと泳ぎに行ってしまったのです。

なぜなんだろう...。なぜ、ここに位置しなければならないのだろう。

日本人であれば人と人の間に場所を取るでしょう。今の状況であれば、私の右側ならば75メートル程度のところ、左側ならば50メートル程度のところに落ち着くのではないでしょうか。

それがなんとまあ、私のド真ん前なのです。独り占めしていた海が台無しになりました。

とはいえ私は不快に思うどころか、面白くて仕方ありませんでした。私はフランス人の気質はほとんど知らないのでわかりませんが、イタリア人ならばこういうことをしてしまうのではないかと思ったのです。

イタリアに戻った後、友人マルコに尋ねてみました。私の状況説明に真剣に耳を傾けて、彼は一言。

「Può capitare....あり得るね」

ああやっぱり! イアリア人ならば! マルコの補足によるとその女性の心理とは...

1)このビーチはパブリックビーチである。だからどこにベッドを置いても構わない。あなたの前で何か文句ある?
2)知らない人でも誰かの近くに居た方が居心地がよい

この後者の理由は、日本人にはもはや存在しないのではないでしょうか。(かつてもあったかどうか、私には定かでないのですが。)むしろ他の人からなるべく遠くに、少しでも迷惑にならないようにと考えるが日本の常識なのではないでしょうか。

でも、面識のない人でもなんとなく一緒にいることを快く感じるというのは結構ステキなことです。だって、極端に言えば「あなたの側に居たい」(へんな意味じゃないですよ)と言ってもらえているようなものでしょう? 人を人として認めているというか。

これは2017年で一番驚いた出来事でした。2018年には何が起こるでしょう?

2017/12/31 ヤマネ@Milano