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2013/02/12特許

ヨーロッパ特許

昨年12月、ヨーロッパ単一特許制度の創設が決定しました。

これまでもヨーロッパ特許制度(European Patent Convention, EPC)はありましたが、これは出願から特許付与までの審査を一元的に行うというもので、特許権は各加盟国毎に発生し、存続し、その国内のみで効力を有するというものでした。つまり、従来のヨーロッパ特許は各国の特許権の束のようなもので、出願人はEPCに加盟する38カ国(EU加盟国よりも多いことにご注意ください)の中から権利を希望する国を指定し、特許後に原則としてその国の言語に翻訳した明細書全文を提出することによりその国で権利が発生するというシステムでした。

今回成立したヨーロッパ単一特許制度(Unitary Patent Protection, UPP)は、EU加盟国全体で効力を有する特許を付与するものです。現時点ではイタリアとスペインが参加しておらず、それ以外のドイツ、イギリス、フランス等EU 25カ国で有効な権利となります。出願から特許付与までの手続は従来のEPC制度と同様、英語、ドイツ語、フランス語のいずれかの言語で行われ、特許付与後に特許請求の範囲(クレーム)をそれら3カ国語に翻訳する必要がありますが、明細書(こちらの方がずっと量が多くて費用がかかる部分です)は翻訳をする必要がありません。従って、ヨーロッパの多くの国で権利を取りたい場合に従来の悩みの種であった翻訳料が大幅に低減されると期待されています。逆に言いますと、ヨーロッパの中でもイギリス、ドイツ、フランス等、限られた国にしか権利を求めないという出願人にとっては、従来のEPC制度と大きな差はないことになります。

審査は、従来と同じヨーロッパ特許庁で行われることになります。ただし、特許権が成立した後の特許紛争は、従来のヨーロッパ特許では(各国特許の束ですから)基本的に各国国内の裁判所で争われるのに対し、新しい単一特許制度では、それに対応して、単一特許を専門に審理する統一特許裁判所という新たな裁判所システムが構築されます。

ヨーロッパ単一特許制度は、早ければ来年(2014年)1月に発効し、直ちに出願が受け付けられる予定です。

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