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2016/03/10 特許・実用・商標・意匠

TPP関連の特許法等の改正案が公表されました

内閣官房のTPP政府対策本部より、
「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案」
が公表されました。

この法律案は、TPPの批准に必要な法律改正を、
複数の法律を対象として一括で行おうとするものであり、
改正対象の法律に、特許法、商標法、著作権法が含まれています。

以下、特許法、商標法、著作権法の改正事項について説明します。

1. 特許法
(1) 発明の新規性喪失の例外期間の延長
 特許を受ける権利を有する者が特許出願をする前に発明を公開した場合、現在は所定の手続を伴う特許出願を発明の公開日から「6ヶ月」以内に行う必要があります。
 今回の改正案では、この「6ヶ月」という期限が「1年」に延長されます。
(この改正事項は、実用新案にも適用されます。)

(2) 特許権の存続期間の延長制度
 現在、特許権の存続期間は、特許出願の日から20年間であり、一部の例外(医薬品、農薬)を除いて、この期間が延長されることはありません。
 今回の改正案では、特許出願の日から5年以上且つ出願審査請求の日から3年以上経過した後に特許権の設定登録がなされた場合には、技術分野に関係なく、特許権の存続期間を延長することができるようになります。
 延長が認められる期間の長さ(延長可能期間)は、その算出方法が法案中に詳細に規定されています。
 存続期間は、自動的には延長されません。特許権者が、特許権の設定登録の日から3月以内に延長登録出願を行う必要があります。
(この改正事項は、実用新案には適用されません。)

2. 商標法
商標の不正使用についての損害賠償に関する規定
 商標権者が、登録商標と社会通念上同一の商標を使用した侵害者に対して損害賠償を請求する際に、損害額の立証を容易にするための規定が設けられます。
 具体的には、「当該登録商標の取得及び維持に通常要する費用に相当する額」を損害額として請求できるようになります。

3. 著作権法
(1) 著作権の存続期間の延長
 著作権の存続期間が、従来の「著作者の死後50年」から「著作者の死後70年」(著作者が無名・変名の場合や団体名義の場合は、「著作者の死後」を「公表後」に読み替え)に変更されます(なお、映画の著作物の存続期間は、既に「公表後70年」と規定されており、今回は変更されません)。

(2) 著作権侵害罪の一部非親告罪化
 従来、著作権侵害は、著作権者からの告訴がなければ公訴の提起(検察官による起訴)をすることができませんでした。
 今回の改正により、有償で販売されている著作物を原作のまま複製した複製物(いわゆる海賊版)の譲渡等を行った場合には、所定の要件を満たせば、告訴がなくとも公訴の提起ができるようになります。
 なお、原作に改変を加えた場合(同人誌で行われている2次創作、パロディー等)は、従来通り、告訴がなければ公訴の提起はできません。

(3) 損害賠償に関する規定
 JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)等の著作権管理事業者が著作権の管理を行っている著作物について著作権侵害があった場合に、侵害者に対して、著作権管理事業者の使用料規定に基づいて算出した額を損害賠償請求することができるようになります。

(4) その他
 著作権管理のためのアクセスコントロールを回避する行為に対する罰則規定や、インターネットを通じた音楽等の配信音源の2次使用に対する実演家等の報酬請求権に関する規定が追加されます。

この法律案は3月8日に国会に提出され、今後、審理されます。

なお、法律案では、施行日が「TPPが日本国において効力を生ずる日」とされています。
TPPが発効するためには、少なくとも日米両国が批准する必要があるため、
仮にこの法律案が国会で可決・成立し、さらに日本がTPPを批准しても、
米国がTPPを批准するまでは、法律が施行されないことになります。