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2013/02/15弁理士ブログ

物語の印象

最近、息子と一緒に観るTVドラマの一つに「ビブリア古書堂の事件手帖」(フジテレビ、毎週月曜日午後9時)がある。これはベストセラー小説をドラマ化したもので、剛力彩芽さんが扮する古本屋の店主・篠川栞子が、毎回、一冊の古書にまつわる謎や秘密を解き明かしていく。

つい先日(2月11日)放映された第5話では、アントニー・バージェスの「時計じかけのオレンジ」が取り上げられていた。小説として読んではいないが、スタンリー・キューブリックにより映画化されたアメリカ映画を大学生の頃に観たことがあり、そのときのことを思い浮かべながらドラマを観た。暴力的、破滅的なシーンが多く、あまり後味の良くない映画だった。ドラマでも、店主がこの本を中学校に寄贈しようとしたところ、中学生には不適切な小説であるという理由で教員から返却されるという設定になっている。そのように判断される理由となった生徒の行動が、第5話の「謎や秘密」になるのだが、それはさておき、驚いたのは、この小説の最初の出版では、作者の意図に反して、最終章の第21章が削除されたということだった。アメリカ映画も第21章が削除された版を元に作製されたそうだ。

店主・栞子の説明によると、第21章が削除された版の日本語翻訳本は絶版になっていて古本しか存在せず、現在日本で販売されているものは第21章を含む完全版であるとのことだった。最終章の有無でこの小説の印象が全く正反対になるという。

私の仕事の一つに、特許出願やその中間処理に関する書類作成というのがある。日頃から、いかに分かりやすい文章を書くべきか、審査官や審判官の見解(印象)を覆すためには、どのように説明すべきかに頭を悩ませている私にとって、文章の有無で印象が正反対になるというのはとても興味深い事実だった。是非、一度、完全版を読んでみたいと思った。

市岡 牧子

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