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弁理士ブログ

特許法改正雑感

2015/10/01

最近は「憲法改正」という言葉が紙面を賑わすことも多くなり、私たち一般市民の生活に関係する民法は大改正を控えています。一方、私たちが実務を行う上での様々なルールを定めた「特許法」という法律は、毎年のように、しかも大きく改正されています。

今年もまた昨年に引き続き大きく変わりますが、今回変更となる点は大きく分けて2つあり、1つが「職務発明制度の見直し」、もう1つが「救済規定の導入」、となっています。職務発明制度の方は一般紙でも報じられていることなのでここでは省略し、もう1つの救済規定について少し感想を述べます。

改めて言うまでもなく、私たちの実務上大切なのが「期限」であり。特許出願に伴うほとんどの手続に対して、特許法では細かく期限が定められています。従って、どこの特許事務所でもそのような期限を管理するためのシステムを作り、それに従って日々の業務を行っています。
そして、日本ではこれまで、定められた期限を何らかの理由で守ることができなかった場合、復活は一切認められず、そこで終わりとなるのが通常でした。
これに対し、諸外国に目を遣ると、日本とは逆に、例えば余分に手数料を払うといった一定の条件の下、手続の復活を認める救済規定が数多く定められています。
結局、国際調和の観点から、日本もこのような諸外国の趨勢に倣ったわけであり、少し細かくなりますが、出願人の利便性向上等を目的とした国際条約(「特許法条約(Patent Law Treaty)」、略して"PLT"と言います)に日本が加入したことを受け、その条約に合わせる形で日本の特許法を変える必要があったというのが実際の理由です(PLTに従った日本特許法の改正はこれまでも行われています)。

このような救済規定は、もちろん日々の業務の中で使用することは想定していませんが(というか、想定すべきでないと思いますが)、万が一の備えとしてあった方が便利なことは確かです。
ただその反面、救済規定がどんどん増えてくると、手続を行う相手方である特許庁の事務負担もそれに応じて増えるため、それが結局、出願人が特許庁に支払う手数料の増額という形で跳ね返ってくることは予想されます。もちろん、より多くのサービスを受けようと思えば、それ相応の対価を支払わなければならないという、当たり前のことといえばそれまでなのですが、功罪相半ばするといったところでしょうか。

中村 泰弘