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2016/02/01弁理士ブログ

今昔物語

さて、2016年となってからはや1ヶ月経ちましたが、今年の11月で私が現在の事務所に入ってから16年となります。十年一昔とは言いますが、振り返ってみて、入所当時と今とでは様々なことが当然ながら大きく変わりました。

仕事のスタイルとしては、当時ももちろんパソコンを使い、インターネットを利用していましたが、連絡手段はもっぱらFAXや郵送でした。当時のネット環境では、容量の大きなファイルをやりとりすることなどとても叶わないことですし。特許調査のような特許事務所には欠かせない業務も、ダイアルアップ接続で通信時間を気にしながら行っていたと記憶しています。

私は入所後早々から外国出願を担当していますが、海外の代理人との連絡、例えば出願書類の送付といったことは、国際郵便を当時は利用するしかなかったため、とりわけ出願期限が迫っているときなどは非常に気をつかいました。今はセキュリティに注意しつつもファイルをネット経由で送ればよく、解像度の高い画像データを含む大容量のファイルもストレスなくやりとりできるため、まさに今昔の感があります。万が一送付後に書類の内容に変更が生じたとしても、かつてはそれこそ何十枚という書類をFAXで改めて送らねばなりませんでしたが、今ではそのような面倒な作業も不要です。もちろん今のやり方にも不自由さというか、便利さ故のリスクの高さは感じられますが、それでも、少なくとも物理的な負担はだいぶ減ったように思います。

このような巷間の状況に合わせて、公(特許庁)との連絡の仕方も大きく変わりました。国内出願は、私の入所当時すでにオンラインで可能になっていましたが、国際出願はまだ紙書類を特許庁に郵送するということをやっていました。特許出願はご承知のとおり出願日の確保が肝要であり、郵便物が特許庁に到達した日が出願日と認定されるため、これも出願期限間近のときなどはとても神経をつかいました。郵便物の追跡サイトに定期的にアクセスし、きちんと到達されたか確認することは必須の作業でした。また、どうしても郵便では間に合わないというような切迫した状況のときは、それこそ京都から東京まで書類を持って行くことを覚悟しなければなりませんでした。ちょうど2000年を少し過ぎた頃から国際出願の件数が急増したため、当時はこのような期限管理に苦労したことが思い出されます。今では国際出願もオンラインで可能になったため、このような気苦労からも解放されました。あと、紙書類を提出する時は頻繁に使っていた特許印紙も、オンライン化が進むのに合わせて、いつのまにか使う機会がめっきり減りました。

この十数年の間に経験したのと同じ規模の変化が次の十年にもおそらく起こる、というかむしろ、是非とも起こってほしいと期待していますが、どうなるのでしょうか。例えば最近耳にすることの多いクラウドサービスは私たちの仕事のスタイルを大きく変えてくれそうな気もするのですが、まだ今のところ限定的な利用に留まっているため、自分的にはよくわからないというのが正直なところです。

中村 泰弘

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