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2016/07/01弁理士ブログ

EU離脱

現在世間を揺るがせている、イギリスのEU離脱に関する国民投票結果ですが、私たちと日頃取り引きのある現地(イギリスだけではありません)の代理人からも、結果が出た直後から続々と、まるで今回の結果を予想して準備していたかのように、今後の展望についてのレポートが届きました。

彼らの意見は、細かな点で多少の違いはあるものの、
次のような論調で大体一致しています。

「ヨーロッパの現在の特許実務に影響はないだろう」
「ヨーロッパの現在の意匠・商標実務に影響はあるだろう」
「ヨーロッパの将来の統一特許制度は今後どうなるかわからない」

一点目ですが、現在のヨーロッパの特許制度は"EPC"と呼ばれる条約(ヨーロッパ特許条約)を基礎としますが、EPCとEUでは加盟国が完全には一致しません。このことからもわかるように、両者は別個の制度・枠組みである以上、影響はないというわけです。

これに対し、二点目の意匠と商標に関しては、特許と異なりEUの枠組みを利用していることから、何らかの影響を受けるのは必至だろうとしています。

三点目のヨーロッパ統一特許ですが、一点目で述べた現在のヨーロッパ特許が国内特許の「束」であるのに対し、EU加盟国の間で「単一の」特許を認めようというものです。現時点でまだこの制度はできていません。
ヨーロッパ統一特許は、上で書いたようにEUの枠組み利用するものであり、しかもそこでは、イギリスが極めて重要な役割を担うとされています。
これまで非常に長い時間をかけて議論され、紆余曲折を経てようやくゴールが見えてきたところでしたが、今回の事態を受け、また振り出しに戻るという感じになったことは否めないようです。

以上のような現地の論調でしたが、知財だけとって見ても、イギリスのEU離脱はかなりの影響を及ぼすと予想され、知財以外も考えると、本当にその影響は計り知れません。
そこで、現地代理人の中には「まだ最低2年あるし、本当に離脱するかわからないよ」と割と楽観的な意見を述べるものもいますが、影響の大きさを考えると、あながち的外れでもないような気がします。

中村 泰弘

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