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2017/10/02弁理士ブログ

30年

私が弁理士となって今年で30年になりました。1987年に弁理士試験に合格し、弁理士登録した仲間たちは87(ハナ)会という会を作り、今でも毎年集まっています。今年は節目ですので少し盛大にしようかと相談しています。

私たちが合格した昭和62年でも、現在の産業財産権4法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法。昭和35年法と呼ばれています。)ができて30年近く経っていましたが、それからの30年の変化は、その前の同じ年月の変化を遥かに超えるものでした。法律・手続き面で多くの改正がなされ、手続きは徐々に複雑化してきました。

弁理士の世界でも大きな変化がありました。弁理士が不断に勉強を行い、法律・手続きの変化にちゃんとついて行くようにするため、義務研修制度が創設されました。弁理士会が指定する講義等を受け、所定の単位を取らないと資格を維持できないという制度です。年を重ねることとは何の関係も無い研修制度となっており、高齢者には厳しい内容となっています。

弁理士試験の合格者数にも大きな変化がありました。30年前には全国で合格者数が100名少しでした。そのような数が暫く続いていましたが、1998(平成10)年頃から徐々に増え始め、2009(平成21)年には800名を超えました。しかしその後また減りつつあり、昨年は300名弱でした。この弁理士合格者数の大変動と後述の実務構造の変化が弁理士の世界を大きく変えてしまったように思います。

国内の特許出願件数は、2001(平成13)年をピークに、徐々に減り続けています。それに対し、外国への出願は増え続けています。実務的にもその傾向を強く感じており、外国の特許法や手続き、実務に関する知識が必須になってきたように思います。これは特許ばかりではなく、商標、意匠についても同じで、国際出願の比率、重要性がますます高まってきました。

このように、外国での特許、商標、意匠等の権利化のニーズが高まりつつある一方、弁理士試験には諸外国の法制度に関する問題は出されません。国際出願についての問題は出されますが、国際出願と、その先の各国の法制度とは全く別です。顧客の要望に応え、米国、中国等で、より広い、より強い権利を取得するためには、その国の法制度と実務を知ることが必須です。もちろん現地の代理人が様々なアドバイスをしてくれますが、顧客が知財戦略を練る際に、早い段階で私たち国内代理人がそのような知識を提供するに超したことはありません。

前述の義務研修でも、諸外国の知財制度に関する講義が多く用意されています。しかし、弁理士になる人が最も勉強し、頭に染みこませる弁理士試験前にそのような知識を頭に入れておくのが望ましいと思います。合格後、スムーズに弁理士として働けるようにするために、弁理士試験についても大きな改革が必要ではないかと思います。

小林 良平

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