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弁理士ブログ

知財への意識

2018/04/02

「知的財産」あるいは「知財」といった言葉ですが、仕事柄、この言葉に敏感になっていることは否めないものの、新聞やテレビ等で見聞きする機会は随分増えてきました。
私が学生の頃は、寡聞にして、例の早口言葉で「特許」という単語を耳にするくらいで、後は、著作権は何となく聞いたことがあるような・・・という程度であったと記憶しています。
周りを見ても、例えばパソコンのソフトウェアをコピーするためのソフトウェアみたいなものが公然と売られたり、あるいはレンタルできたりするなど、今から思うととても信じられませんが、煙草が病院の待合室のような公共の場所でも吸えたことと同じで、時代というか、突き詰めるなら人の意識の変化が実感されるところです。

ところで、いきなりですが、皆さんは電子書籍を積極的に利用しているでしょうか。私の場合、割と最近まで紙の本が主流で、電子書籍は余り利用していませんでした。どうしてか理由を考えてみると、ずっと紙だったので、紙の方が安心というか、単に所有欲みたいなものを満たせることができたからのような気がします。
ただ、ここ最近は、電子版と紙版の両方が出されていれば、まず間違いなく電子版を購入しています。今はスマホの性能等も上がり、活字や絵の閲覧に十分に耐えるようになっているので、荷物を少なくできるといった手軽さの面を主に重視して、電子版を選ぶようになっています。

そういう中、最近よく報道されているのが、「漫画村」というインターネットサイトの存在です。無料で最新の漫画や雑誌等が閲覧できることを謳っており、社会問題となっています。
違法かどうかの議論は別として、人は時間や労力といったものを投入して物を創作する以上、創作物を世の中に対して提供すれば、創作者がその対価を受け取るのは当然です。私たちが仕事をして給料をもらうのと同じ理屈だと思います。
創作物の中でも知的財産は、電子書籍の例でわかるとおり、手で触れることができないものであり、紙の本などの「形ある物」と違ってなかなか実感の湧きにくいものです。だからこそ、手軽で気楽・便利だというメリットがあり、逆にそのことが悪い方向に働いてしまうこともあり得ます。

いろいろ規制の動きもあるようですが(例えば、インターネットサイトへの接続を遮断する)、もちろんそれも非常に重要ではあるものの、人の意識が変わることが事態を大きく変える上ではやはり一番ではないかと、最初に述べた煙草の例を振り返ってみて、一層その思いを深めています。

中村 泰弘