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弁理士ブログ

国語力・英語力

2019/12/02

 大学入試共通テストで英語のリスニング民間試験の中止(延期ですか)が決まりました。そもそも、大学入試にリスニングを入れようとする考えは、学校での英語教育が、私達が習っていたころの読み書きからヒアリング・スピーキング重視に変わってきていることから出てきたようです。国際化のためには世界の人との意思疎通が重要であり、英語はその意思疎通のツールとして必須のスキルだから、という理由のようです。昔から、中高大の10年勉強して一つもしゃべれないのはおかしいと、さんざん言われてきました。
 確かに、英語を世界の人々とのコミュニケーションの手段として考えた場合、読み書きばかりではなく、聞き、話すことができないといけません。
 しかし、私は、英語の勉強というのは、コミュニケーションの手段を獲得することのみが目的ではないと思います。言語はコミュニケーションの道具であるとともに、思考の道具でもあります。異なる言語を知ることは、人間の思考というものを客観的に見ることに非常に役立ちます。自分が当たり前と思っていることが人にとってはそうでないこと、人が自分とは違ってこのように考えているのだということを知ることは、自分の思考の枠を広げるのに大いに役立ちます。他言語を学ぶときに重要なことは、一つの言葉を、その言語を使う人はどのような意味で使っているのだろうかと考えること、定訳とされている日本語訳とは違うのではないかと考えることです。
 来年から、高校の国語が論理国語と文学国語に分かれるそうです。今後の国際化社会の中では、論理的思考力(考える力)が重要であり、自分の考えや意見を論理的に述べて問題を解決していく力が求められるから、とのことのようです。確かに、自分の考えや意見を論理的に述べて問題を解決していくのに国語(日本語)は重要ですが、国語(日本語)のみを用いていたのでは、どうしてもその枠から外に出ることができません。日本語とは枠組みが異なり、各単語の意味の枠組みも異なる他言語を学習するのが、論理(思考)を進め、拡大するのに大きく役立ちます。
 大学入試では、受験生の持っているスキルよりは、その潜在力を見ることが重要ではないかと思います。英語の読み・書きの試験は、その潜在力を見るのに適した道具となり得るものです。多くの大学であっさりと民間試験導入を見送り、従来どおりの試験を続けることにしたのは、そのような考えによるものではないかと思います。

小林 良平